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(おまへに)

 おまへに

 つかまるのが

 こはいので

 そうっと

 よこを

 めをつぶって

 とほりすぎようとすると

 おまへは

 夕やけの

 波のやうに

 きらきらと

 にほって

 けっきょくは

 やっぱり

 わたしを

 つかまへてしまふ

 

 すひかずらよ。

 

 それでも

 わたしは

 勇気を

 ふるひおこして

 さよなら

 といはうとすると

 みどりの葉に

 しろと

 黄金の花ぶさを

 ちりばめた

 やさしい

 おまへは

 じっと

 わたしを

 瞠めて

 いふ――。

 

    あなたは

    おとなだから

    いそがしいのでせう。

 

                          (1959/6/15)

 

    須賀敦子詩集  『主よ 一羽の鳩のために』(河出書房新社、2018)

 

       *      *      *

 

 花をしている存在との対話。何気なく、さりげなく。どちらがどちらを慕っているのだろう。

 やっぱり、すひかずらのほうが、須賀敦子さんを?

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