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老人と海

 ヘミングウェイ(1952)/福田恒存(1979).老人と海.新潮文庫

 初めて読んだ。

 1年以上前に、巨大な魚を描写した詩を書いた(このブログの「澪の街に」を参照)。その魚のイメージが甦ってきた。

 遠くへ、静かに私たちを誘うもの。

 〈ゆっくりと近づいてくる。くちばしが舷の外板にふれそうだ。それがあやうく舟のそばを通りすぎようとした。胴体はあくまで長く、厚く、広い。銀色に輝き、紫の縞をめぐらし、水中にはてしないひろがりを感じさせる〉p.107

 時の閾を超えてゆくもの。

 老漁師サンチャゴが魚に親しみを感じるのは、彼もまた時を超えた存在を感じたいからかもしれない。

 かつて存在したし、今も、どこにいても、いつまでもある親密なるもの。

 それと戦うことに、彼は罪悪を感じもするが、また喜びも覚える。

 ここには邂逅の歓びがある。

 畏敬する相手との交感。

 互いの孤独を感じ合うこと。

 現実への帰路にて、彼は魚を鮫たちに食い契られてしまう。今度は聖なるものを守ろうとする戦いのようだ。徒労に終ろうとも、守りたいものを守ろうと全力を注ぐ。

 私たちは、何を守ろうとして在るか。

 何を見つけたくて在るのか。

 ――どこにいても感じられる親密なるもの。

009

(親密だよ)

 

 

 

 

 

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