« あなたの心を与えなさい | トップページ | 心に響く「何か」 »

みずうみ

 先日、岩波文庫から『茨木のり子詩集』が出されたので、買って読んでみた。

 茨木のり子さんの詩は、とてもわかりやすく、心にのこる詩が多いように感じられる。

 その中の一つ。

          *          *          *

     みずうみ

 

  〈だいたいお母さんてものはさ

  しいん

  としたとこがなくちゃいけないんだ〉

 

 名台詞を聴くものかな!

 

 ふりかえると

 お下げとお河童と

 二つのランドセルがゆれてゆく

 落葉の道

 

 お母さんだけとはかぎらない

 人間は誰でも心の底に

 しいんと静かな湖を持つべきなのだ

 

 田沢湖のように深く青い湖を

 かくし持っているひとは

 話すとわかる 二言 三言で

 

 それこそ しいんと落ちついて

 容易に増えも減りもしない自分の湖

 さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖

 

 教養や学歴とはなんの関係もないらしい

 人間の魅力とは

 たぶんその湖のあたりから

 発する霧だ

 

 早くもそのことに

 気づいたらしい

 小さな

 二人の

 娘たち

          *          *          *

 これを読んで、救われる、と感じるのはなぜだろう?

 「田沢湖のように深く青い湖を/かくし持っているひと」でありたいと希うひとに、水やりをしてくれているのかもしれない。

 そこは「さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖」であり、容易にはうかがい知ることのできない深淵。だからこそ、心を寄せることができる。

 また、「教養や学歴とはなんの関係もないらしい」という言葉は、人と接する際のかた苦しい感じをとりのぞいてくれる。

 茨木さんの詩は、やさしいまなざしに満ちている。そう感じるのは、言葉から感じられる芯のやわらかさによるのかもしれない。

004

(よりそって)

 

« あなたの心を与えなさい | トップページ | 心に響く「何か」 »

詩を読む」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/391404/55706741

この記事へのトラックバック一覧です: みずうみ:

« あなたの心を与えなさい | トップページ | 心に響く「何か」 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ