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La frontiere de l'aube 愛の残像

 La frontiere de l'aube (2008). Philippe Garrel

 静かで優しい映画である。

 キャロル(女優)とフランソワ(雑誌カメラマン)の愛は、切なく、苦しい。互いの魂に触れ合いながら、水が砂に浸み込むように、少しずつ拡がっていく。

 キャロルが薬物で亡くなった後、フランソワは鏡に彼女の亡霊を見るようになる。それは彼の心が生み出したのだろうか。

 彼女を思うゆえに、生きていた時のことを後悔するように。

 あるとき彼は知った、本当は、彼女こそがすべてだったのだと。だから、自らも後を追うしかなかった。

 後を追わない新しい生は、彼には意味をもたらさなかった。ヒースクリフを思うキャサリンのように。

 だから、映像は彼を労るように優しい。記憶の一つ一つをなぞるように、キャロルのしぐさを写真のように切り取り、再現する。

 フランソワは、再び彼女に会えただろうか? 何より、彼の思いが、この世には大切なもののような気がする。

 人のそのような思いの一つ一つが、この世を純化しようとしている。

 夜明け前の僅かな光のように。

003

(静かで優しい)

 

 

 

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