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小さな町

 小山清(1954/2006).小さな町.みすず書房

 心地よい夢を見た。内容は忘れたが、ある種の幸福感、優しさに包まれたような感じがした。なぜそのような夢を見たのか、しばらく考えて、その出所が分かった。最近読んだ小山清の作品である。

 読んでいるときに感じれられる何かが、夢のそれと似ていた。それは、人の心理に寄り添う作者の私が初めから持っている優しさのような気がする。

 人へのまなざし。とくに、弱い人、小さい人へのまなざしに、共感が込められている。そのやわらかさ、あたたかさには、しかし、大人社会への批判が隠されている。

 映画『道』に閃くジェルソミーナへの親愛のようなもの。対象を見つめ、そこにある純真な心情を、愛しみ、そこに同化しようとする心性がある。

 その心性は、おそらく、私たちが幸福と呼ぶ何かに、ぴったりと寄り添っているようだ。不意に人が失ってしまうものを掬いとろうとする、掌の中で、なおそれはぬくもりを発し、知らぬ間に人の心に浸透し、優しい気持ちを植え付ける。

 読む人を幸せにする、とてもいい作品集である。

033

(small waterbird)

 

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