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それでもやっぱりがんばらない

 鎌田實(2008).それでもやっぱりがんばらない.集英社文庫

 鎌田實という一つの魂のこの世での遍歴が書かれている。

 とてもいい魂である。生まれ落ちて僅かな時期に受けた傷を芯に抱えながら、それを克服しようとして、精一杯の努力をされて来た、その姿が素直に綴られている。

 人に優しくしたいというのが、彼の根底にある。それは紛れもない真実である。そのために、医者を志し、医者となってからは地域の医療、福祉のために精力を注いでこられた。さらに、チェルノブイリ、イラン・イラク地方の被爆者の子らのために、命と希望を育むために活動をされている。貴い魂であると感じる。

 さまざまな患者、家族、医師、思索家、演奏家、画家との出会いが、その人々の持つ優しさが、彼を支えてきた。だから、さらに恩返しをするためにも、人に優しい医者でありたい、人でありたいと願う。がんばっておられる、それでもがんばっているという自覚は持たれていない。がんばらない。「それでもやっぱりがんばらない」。

 支え合うということを、本当に大切にされている。人の持つ可能性(希望)を感得されようとしている。出会いにより流れはじめるその人との時間、心の変容を楽しまれているのだろう。

 私も、そのように、出会いにより生まれる何かを大切に、保持しあたためつづけたい。それを言葉にし、詩にし、さらに精錬したい。

 鎌田さんは、人が生きていくのに「家族のようなもの」が必要だと言う。

 「家族ってなんだろう。

 家族は、あるものではなく、つくるもの。

 家族の役割は、命を宿すこと、命を育てること、命を支えること、命を看とること、そして、命を葬ること。さらに死んだあとも、その命を忘れないこと」p.269-270

 老人保健施設も、「家族のようなもの」であっていいと言う。

 私もそう思う。いろんなかたちの支え合いが、この世には必要だ。そのかたちをつくりつづけていくことが大切である。

 今度、6月2日からの「鎌田實と行くドリームフェスティバルinハワイ」に参加する。それで、この本と『がんばらない』を読ませてもらった。読んで、とても愉しかった。

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(きれいに咲いたね)

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