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澪の街に

 私たちの街の 見えない水路に

 巨大な魚が泳いでいる

 音もなく

 きらめき たゆたい 

 知らぬ間に降りつもる雪のように

 この世界の奥へと向かう

 

 鰯の群れのように きらびやかに舞うのではなく

 時おり背ビレを風に当てなどして

 遠い過去へと向かうかのように

 柔らかな水に同化してゆく

 

 よりそってくれているのか

 いつもは姿を隠し

 ふいに漣のようにやって来る

 

 推移しているのは 時か 思いか

 空が水を欲するように

 すべては背景になじもうとしている

 

 溶け合いたいのか

 際立ちたいのか

 おそらく 街の隅々に

 散る花びらの回転の中に

 軒先にかかった藁屑の翳に

 息を吹きかけていたいのだ

 

 ここにも

 ほらここにも

 数かぎりない物たちの

 命になろうとしている

034

(海辺の神社にて) 

 

 

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