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他者とともに在る楽しさ

 自分が年齢を重ねてきたせいか、まわりの年配の人に接すると、考え方が固定化している人が多いように感じられる。

 なぜだろう? 歳を重ねるほどに、いろんな考え方を身につけるのだから、頭はより柔らかくなるはずなのに。

 接していて感じるのは、おそらく多くの人が自己を肯定しようとするから、ということ。自己を守ろうとし、肯定する、すると必然的に考え方は一方向的になる。それが習慣化されると、考えはより固まってしまう。

 逆に、自らの考えを否定する人は、より他者の考えを吸収しようとする。その良さを、納得して、深く心に刻む。刻むほどに、自らの至らなさに気づかされ、さらに他者の声を聞く。そのような生を尊いと、私は感じる。本当は、あたりまえの生ではあるのだが。

 「成長するために」ではなく(自己啓発ではなく)、生きる必然として、そのようにして、他者の声を聞く。よく生きようとすれば、聞いてしまうのだ。

 聞かれた声は、心に反響し、できる限り心を砕こうとする。だれの心でもない心を。

 私のためでも、だれのためでもなく、心はただそれを欲している。

 見果てぬ夢を見ようとし、何かしらの違和に触れ、それを動かそうとして、動かされ、やがて深みに沈潜し、不意に異世界に生まれ出る。

 その楽しさを、人はもっと感じていいのではと思う。

 他者とともに在る楽しさを。

018

(ゆふの丘プラザにて)

 

 

 

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