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八月の鯨 The Whales of August

 1987年、アメリカ映画。

 老いた白髪のリビーはメーン州の島の岬の一軒家に妹セーラと一緒に住んでいる。目が見えないので、セーラの世話になっている。プライドが高く(感受性が強く)、娘の世話にはなりたくないと言う。セーラは元看護師で、夫に先立たれている。

 その岬からは、八月に鯨を見ることができると言う。若い頃姉妹とティシャの三人で見た時の映像が冒頭で映し出される。

 八月の庭には白と赤のバラが咲き乱れている。セーラはそれぞれを一本ずつ摘み、ガラスの小瓶に生ける。他にも、岬までの小径には色とりどりの花木が群生している。年下の友人ティシャはブルーベリーの実を摘んでくる。

 リビーは希望を持てないでいる。死が間近いと口にもし、友人の修理工が海側の壁に大きな見晴らし窓を取り付けてはともちかけても、相手にしない。見晴らし窓はセーラの提案だった。

 知り合いの老紳士が近くの海辺で魚を釣ってくれた。彼はディナーの客として呼ばれ、昔日のことや未来の希望を語ってくれるが、その意図が、リビーには見え透いていた。

 その日はセーラの結婚記念日だった。薔薇は記念写真の前におかれ、紳士が帰った後、セーラは一人で故人を偲ぶ。

 夜、姉妹の思いは交錯する。

 翌日、ティシャが不動産業者を連れてくる。以前にも家を売らないかとセーラに持ちかけていたのだ。業者が二階に上がろうとすると、セーラは家を売るつもりのないことを、強い調子で言う。

 不動産業者とティシャが帰ると、部屋から出てきたリビーは、忘れ物を取りに来た修理工に、見晴らし窓の取り付けを依頼する。セーラと二人で決めたのだと。

 底意のない修理工の振舞を感じて、決心がついたのかもしれない。寄り添うセーラの真意に影響されたのかもしれない。物語はそこで静かに終わる。

 二人の心の襞が丁寧になぞられ、島の鮮やかな映像がそれに重ねられる。

 いつまでも心に残る、とても美しい映画である。

http://www.youtube.com/watch?v=-_qejjOKaHo

003

(別府の八月の海)

 

 

 

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