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2012年7月

詩を読みましょう(第7回)

 ☆ ☆ 詩を読みましょう(第7回) ☆ ☆

 日時:8月25日(土)13時半~16時

 場所:別府市ふれあい広場サザンクロス4階

 第6回は、6月30日、「夏」「海」というテーマで詩を読み合いました。

 ある夏の思い出、海辺の情景、水平線、高校野球など、印象深い作品が多かったです。

 第7回は、詩を読む会を始めて、1周年になります。

 いろいろ考えてみたのですが、今回のお題は「夢」または「宇宙」にします。それに関連した詩を持ち寄ってください(自作可)。

 いろんな「夢」、「宇宙」に出会えたら、とても楽しいと思います。

 なお、これまで同様、詩は10部ほどコピーして来て頂けると助かります。

Img011

(わが家の苺 多美子作)

詩を読む会(20)

 続けて、読まれた作品の紹介と、私の感想。

 

   遠く過ぎ去った日の夏

 

 遠く過ぎ去った日の夏

 私は十二歳だった

 夏になると決まって泳いでいた稲葉川

 高台から勢いよく飛び込み

 深みにはまり何メートルか流され

 気が付いたら浅瀬へはい上がっていた

 一時は意識がなかったのだ

 

 何事もなかったように

 何食わぬ顔で家にもどり

 もぎたてのトマトをかぶりついた

 不揃いではあったが

 太陽をいっぱいに浴びた

 その実はとても甘かった

 生かされていることに

 感謝したのを覚えている

 両親が居て

 兄妹がいて

 みんな若く元気だった

 

 あれから五十余年目の夏

 ふるさとは誰あれもいない

 あの日のトマトもない

 夏が来た

 むかえてくれたのは

 むせ返る夏草と

 それに埋まる墳墓と

 そして今も

 かわることのない

 稲葉川の流れである

 

 

   あめ

 

 ことのはが濡れる

 みどりはが光る

 

 あめつぶをビニール傘は見せてくれる

 はじく粒はじける音はじく想い

 

 ねこは雨がにがて

 ねこはあめに濡れることを嫌う

 

 たたずむみどり

 外に出ることをためらう猫

 たいくつを静かに感じるひとり

 

 ことのはが濡れる

 みどりはは光る

 

 あしたもあさっても雨が佇むのだろう

 生きるために息を感じるために

 

 

   雫の連なり

 

 雨の日は 君が近い

 無数の雫たちが 外の景色を遮断する

 ふたりして 雨の匂い

 

 雨上がりに光る雫を ネックレスにして

 君におくりたい

          *          *          *

 遠く過ぎ去った日の夏

 衒いもなく、とても素直に書かれているので、楽しく読ませてもらった。

 昔日の思い出が鮮やかに甦る。記憶は、それを辿る時に、人の心を豊かにしてくれる。あの時の、あの出来事が…、それを掘り下げる毎に、新しい気付きが生まれるかもしれない。「本当は、それは…だったのでは」

 初めに見た過去は、現在から見た過去だが、遡って見えてくる過去は、過去から見た過去ではないだろうか。当時の意識に入りこむ。後悔が、時に気づきにより、肯定へと変わる。「それでよかったんだ」「あの人はそんなつもりじゃなかったんだ」

 変わることのない稲葉川の流れに、作者が見たものとは何だろう。数多の人の笑顔だろうか、人の優しさだろうか。

 あめ

 降り続く雨である。しかし雨はまた生きものを潤す。だから、生命である言の葉を濡らし新たな息吹を与える。それで、(心にある)緑の葉も生き返る。その時の雨はかぎりなく優しい。

 生き返るとは、はじくこと、雨粒たちは一斉に人の心の窓ガラスを叩く、元気よく。それでも猫はやっぱり雨が嫌い、そんな日もある。滋養の雨である。濡れずに、縁側でひとり想う。

 雨が佇む。しばらくの間、雨に打たれ、考え続ける時間が必要な時もある。考えるのは、想うのは、生きるため、よく生きるため。

 雫の連なり

 雨はまた、傍にいる人の近さを感じさせてくれる。その二人は初めてのデートをしているかもしれない、よく見知った人かもしれない。匂いは記憶を運んでくる、雨の匂いもまた。二人はそれぞれ別の思い出に接しているのかもしれないが、二人いっしょにいることで、仄かな共感が芽生える。

 ともにここにあることの記念に、ともに見た夢の記念に、いまここの証として、光る雫をネックレスに。雫は七色に輝くだろう。

010

(梅雨の晴れ間)

 

 

 

 

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