« 指原莉乃さん | トップページ | 詩を読む会(19) »

冬の小鳥 Une vie Toute Neuve

 2009年、韓国/フランス映画。ウニー・ルコント監督作品。

 

 1975年、9歳の少女ジニは、大好きな父親に連れられてソウル近郊の施設(カトリックの孤児院)にやって来る、よそ行きの服を着せられて。父は言葉少なに去って行く。

 自身の突然の環境の変化について、おおよそのことは理解できるのだが、その事態が信じられない彼女は、現実を受け止められない。

 食事を摂らず、口をきかず、周囲にとけ込まない。父親への思いだけが心を領する。

 しかし、払い除けて散らばった食べ物や食器をかたずけてくれた11歳のスッキに、少しずつ心を開くようになる。スッキの秘密を聞いたり、二人だけでこっそりケーキを食べたり、傷ついた小鳥の世話をしてあげたり。

 ある時、お姉さん的存在のイェシンは「思い人」にふられて自殺を試みる。イェシンはやがて元気になり、養子に貰われていく。その時、ジニは哀しむ寮母に寄り添う。

 しばらくして、スッキもアメリカの夫妻に養子として引き取られる…。スッキをも失い、ジニの心は荒む。貰った自分の人形を放り投げ、他の子らの人形も、奪い取り、ズタズタに引き裂く。

 元の家の住所を院長に伝え、見に行ってくれと頼むが、両親はすでに引っ越し、その家には別の家族が住んでいることを知らされる。

 冬の日差しは少しずつ柔らかくなり、春が近いことを予感させる。そんなある日、ジニは庭の枯れた木立の中で懸命に穴を掘る。大きな穴ができると、自らを埋葬する。自分に土を被せ、顔まで埋もれる。数秒後、土を払いのける。ある決心をしたかのように。

 養子に貰われることを、自分で決めたのだ。

 やがて里親が決まる。寮母が背の伸びたジニの服の丈を直している間、ジニは歌う。

 

 ~あなたは 知らないでしょうね どれだけ愛していたか

 時が流れれば きっと後悔するわ

 寂しい時や 沈んでいる時は 名前を呼んでください

 私は そこにいるわ

 両目から あふれ出る 私の熱い涙で

 あなたの痛む心を きれいに 洗い流してあげる~

 

 旋律が、言葉が、歌う彼女の心に浸透し、希望が息づく。

 生まれ変わったジニは、笑顔で集合写真撮影に並び、歌声の子らに見送られて施設を後にする。

 そしてパリで待つ里親のもとへ。

 機内の座席では、父親の背中の温もりを思い出す。

 着陸後ロビーを歩くジニは、どこかしら心が浮き立っているかのよう。

 

 冬の枯れた木立、陽光が、ジニを優しく包んでいた。映画に流れる音楽も、柔らかな旋律を奏でていた。寮母も、そっけなくはあったが、静かに心を寄せてくれていた。境遇の過酷さに相反して、まわりはジニを優しく取り囲んでいた。

 見る人の心の奥底に、愛を語りかけてくれる映画である。

http://www.youtube.com/watch?v=VzGCCBYMHQ4

013

(梅雨の晴れ間)

« 指原莉乃さん | トップページ | 詩を読む会(19) »

映画・ドラマ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/391404/45781741

この記事へのトラックバック一覧です: 冬の小鳥 Une vie Toute Neuve:

« 指原莉乃さん | トップページ | 詩を読む会(19) »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ