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詩を読む会(16)

 今日「詩を読みましょう(第5回)」を開催した。とても充実した時間を共有できた気がする。さまざまな感性に出合えた気もする。これまで同様、持ち寄られた詩を紹介しよう。

          *          *          *

   面白すぎる出会い

 

 「求めよ さらば与えん」

 などと言うけど

 

 待ってるときには来ず

 待っていないときに 来たりするものなのか?

 

 出会いがしらで衝突

 心の準備ができていないときに限って起こる

 事故に遭うようなもんだと

 誰かが言う

 

 四十路の就職活動

 連敗続き

 

 ある面接

 憧れて受けたのに

 代表の顔を見るなり 途中で嫌になった

 落ちることを望むあまり

 「わたくしにはできません」と 後ろ向き発言

 後日 合格通知

 しかし 自分に正直に断る

 人生はおもしろい

 

 その次の日

 ある会社の代表から

 「ウチに来ないか」と電話

 その代表 知らない人だけど

 カラオケ友達の紹介で 自分を知ったらしい

 今 そこで働いている

 

 人生はおもしろすぎる

 

          *          *          *

 

   生命は

                          吉野 弘

 生命は

 自分自身だけでは完結できないように

 つくられているらしい

 花も

 めしべとおしべが揃っているだけでは

 不十分で

 虫や風が訪れて

 めしべとおしべを仲立ちする

 生命は

 その中に欠如を抱き

 それを他者から満たしてもらうのだ

 

 世界は多分

 他者の総和

 しかし

 互いに

 欠如を満たすなどとは

 知りもせず

 知らされもせず

 ばらまかれている者同士

 無関心でいられる間柄

 ときに

 うとましく思うことさえも許されている間柄

 そのように

 世界がゆるやかに構成されているのは

 なぜ?

 

 花が咲いている

 すぐ近くまで

 虻の姿をした他者が

 光をまとって飛んできている

 

 私も あるとき

 誰かのための虻だったろう

 

 あなたも あるとき

 私のための風だったのかもしれない

                       ――詩集『北入會』

013

(海の微風)

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