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詩を生きる

 2月に1度大分市のコンパルホールで開かれている詩の会「一期の会」に参加している。先日は杉谷昭人『詩の起源』の読み合わせをしたが、その中で引用されていた、カール・シャピロの次の一節が印象に残った。

 〈芸術においては、他のいろいろな仕事におけると同じように、技巧が洗練されることはあります。しかし成功が確実さをもつということはありません。これは確かです。というのは、詩人はある詩を書くたびに、新しい、そして違った世界に入っていくからです〉

 「詩を書くたびに、新しい、そして違った世界に入っていく」。その通りだと思う。

 詩を書くとは、その詩を生きることである。「私」は、その詩の中で感じ、考え、何かに触れ、何かを発見する、つまり生きる体験をする。その体験がより強い感覚を伴ったもの、感覚そのものであるなら、そこに表された詩は、より力強いものであるだろう。

 たとえば、寮美千子編『空が青いから白をえらんだのです』に収められた、刑務所に入っている子どもたちの詩には、彼らの感じ方、考え方が変わる体験が表されている。

 小説の中で、主人公がさまざまな体験を重ねるなかで何かを掴んでいくように、あるいは人生がそうであるように、詩の「私」は、詩の物語を鮮烈に生きている。

 そして人はその体験を共有したがっている。

 そのとき、共有されているのは何か?

 書くたびに、新たな生を生きる。そのような生を貫きたい。

014

(もうすぐ春だよ)

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