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詩を読む会(13)

 今日、詩を読みましょう(第4回)を開いた。12名の参加、うち市報を見て初めて参加された方が2名、初参加は全部で5名。

 詩の会と言うと敬遠されがちではあるが、それでも新たな出会いがあり、良い刺激を受ける。開かれた場でありたい。

 詩を書くというのは、じつはとても楽しい経験である。書いている時、あれこれと考えるからである。

 ほんとうは苦しいのかもしれない。でも「私が」考えているのではないと感じられる時、思考は自在になる。そこまで、よく考える。技法の問題ではなく、触れられた核心をどのように言葉で写すかということ。言葉を用いて、感じ方、考え方を育むということ。

 今回とても印象的だったのは、初参加18歳のエリさんの作品「駅のホームで」(詩集も出されている。題は『AM05:30』)。言葉が熟(こな)れていて、気持ちがスーッと伝わってくる。読者の心をほぐして透明にしてくれる作用があるように感じた。これからいろんな詩を書かれると思う。とても楽しみ。

 これまで同様、持ち寄られた詩を紹介しよう(読まれた順に)

 

   卒業

 ぼくときみが 出逢ったのは

 桜の花弁が 頬を桃色に染める頃だった

 ぼくらは 春に生まれたんだ

 

 団扇だけでは たまらない昼下がり

 補習を終えたぼくは

 美術館下の公園のベンチに座っていた

 太陽の眩しさに負けまいと

 部活をがんばるきみを

 ずーっと待っていた

 やっとやってきたきみの頬は

 流れる汗で 光っていた

 

 生きづくものが

 頬を赤くボーっとする頃

 ぼくは 専門学校に合格した

 文化祭のステージの上で

 きみは 就職が決まったと

 ウインクした

 

 小雨だと思っていたら

 雪が頬を冷たくした昼下がり

 下駄箱から黒のローファーを下ろしたら

 階段を息を切らせて降りて来たきみの

 背の高さを見上げていた

 

 お雛様が 満面の笑みを見せる頃

 ぼくらは 卒業する

 

 やがて

 ぼくらが 生まれた春がやって来る

 今年も 桜の花弁が舞い降りるのだろう

 花弁が 地面に絨毯を織り上げた後

 ぼくときみの

 それぞれの新しい出発(たびだち)は始まる

 

 ぼくらの 行くところは違っていても

 ぼくらは 春に生まれたんだ

 

 ぼくときみの 固い固い絆は

 桜の花弁に 誓って いるから

 

 

   駅のホームで

 

 先日メアドを交換しあった

 「知人」たちと別れた駅のホーム

 即席で張り付けた笑みで

 グッバイと手を振る

 何が グッとなのか

 ぴらぴらと振った手のひらは

 薄く冷たい

 

 ガラスの瓶のかけらみたいな

 ささやかなうつくしさを

 いつだって探し求めようとして

 けれど

 喧騒だらけのこの街で

 孤独なにぎやかさに

 めまぐるしく過ぎる日々に

 目が見えなくなってきているのを

 電車の窓に映る自分の顔に

 痛感する

 

 なかなかどうして

 さっき見た映画の名前も出てこない

 悲しくなるほど

 好きだったものも

 ほこりを被ってしまっている

 

 このままではいけない

 このままでは

 わけのわからない予感に

 つり革を掴む

 電車は今日も

 同じ時間に発車する

005

(この街の初日の出) 

 

 

 

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