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芽生え

 宮城県仙台市若林区、海岸から1.5kmの農家に辿り着いた桜の流木。

 その桜の幹から小さな芽が幾つか生えていた。

 津波から83日目。敷地内外をよく見ると、砂地からは竹の芽、庭先の枯れた躑躅や倒された柿の木からも新芽が出ている。鈴蘭、蒲公英も花を咲かせ始めている。

 海岸のなぎ倒された防風林の隙間からも、新しい木の芽が出ている。樹液に蟻も集まってきている。蟻たちはどうやって生命をつないだのだろう。

 辺り一帯にはまだ車や瓦礫が放置されている。田圃は塩の混じった泥水で覆われている。家は疎らに建っている。高速道路より山側に比べ、海側は荒れ方が違う。その中でも、そうやって小さな命たちが芽吹いている。

 夜になるとまだ寒い。ときどき余震もある。一つずつ、できるところから再開発されていくのだろうが、見通しは立っていない。農家の主は「何年かかるかなぁ」。

 がんばって下さいと、心の中で唱える。

024

(2011.6.2 仙台市若林区にて)

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