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ハッキョへの坂

 河津聖恵(2011.4).ハッキョへの坂.土曜美術社出版販売

 「虜囚の記憶」はどう人に読まれているのだろうと、検索しようとし、最初に出合ったのがブログ「詩空間」。幾つかの文を興味深く読ませて頂いた。

 詩集を出されたとあり、購入し読んだ。言葉が真摯で、イメージが豊か、透明である。より強く意識されているのは「他者」で、親近感を覚えた。20の詩篇のどれも良いと思う。

 その中の1篇。

      *      *      *

  ひとは一つの詩とともに生まれてくる

 

 ひとは一つの詩とともに生まれてくる

 燃えるたった一つの詩に照らされながら

 怒った真っ赤な顔で産まれてくる

 (でも星座のように読むことができるのはそのときだけだ)

 永遠に読むことのできない詩のために

 私たちはいやがおうでも生かされていく

 詩の権能者ではなく 孤独な書き手でもなく

 むさぼりのためではなく 口実ではなく

 自身の牢獄を磨いて見せることもなく

 ただ詩とともにあるということで生きる・生かされる(私たち詩の囚人か、ともがらか)

 あかあかと詩の尽きるとき一閃で消える(祝祭か、とむらいか)

 私たちが去れば宇宙のグラスに揺れ動くワインのようにゆったりと燃え拡がるはずだ

 世界は初めて美しいよこがおを虹色に染めるだろう

 詩は千年をかけて夜の鳥たちのように

 遥かな空無へ他者へ燃え渡されていく

 (私たちがいなくなったならば誰かがまた歓喜と苦悩の油を絞る)

 よりよく燃えるために私たちは生きる・書く

 風は葉を揺らし花は香りを放ちながら・書く

 ふいに敗北したように空気はかたわらでくぼみ句点が打たれ

 いつしかけもののように他者のために祈りつづけ世界は輝く白紙となり

 ただ証すための一篇にいとおしく焼き尽くされるため

 この今を抱くように生きている

2

(朝の海と空)

 

 

   

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