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石巻の中学校にて

 避難所となっている高台の中学校の体育館の1階と2階に、多くの人が寝泊りをしていた。階段の壁には、アメリカの人々や関東の生徒からのメッセージが貼られていた。

 衛生状態はどうなのだろう。匂いも少なく、トイレも清潔だった。布団にはダニ等は発生していないのだろうか。電気は使用不可と聞く。電子ジャー、冷蔵庫等も無い。トイレ横の水道では衣類をもみ洗いする女性。

 校内を廻った。体育館だけではなく、調理実習室、理科実験室にも、人が寝泊りしていた。教室では授業が行われている。静かだ。隣の教室で行われている授業の妨げにならないように、気を遣って生活されているのだろうか。下の階では小学生も授業を受けていた。

 運動場では、中学生の1クラスがみんなで踊りを学び、小学生の1クラスがベースボールをしている。その向こうにはたくさんの車。

 昼になり、炊き出しの豚汁を運ぶ。廊下に零れた汁をティッシュで拭いていると、先生が出てきて一緒に拭いてくれる。「あとは生徒たちがやりますからいいですよ」。逆に気を遣って下さった。ここでは自然と、互いを思い遣っている、そんな印象を受ける。

 「こんにちは」「こんにちは」すれ違う中学生たちはごく自然に優しい挨拶をしてくれる。

 今日の午後2時からは化粧品の無料配布があるとのこと。女性たちが次々と体育館に足を運んでいた。「大阪からタコ焼きのボランティアもあったよ、元気をもらったので、お手紙を出したよ」と言う、杖をついた年配の女性が丁寧にお辞儀をされる。

 体育館の入口には2匹の犬が見慣れない人に向かって吠えていた。「吠えたらダメよ」と、避難所の人。少し離れたところにも、1匹の犬が蹲っていた。尻尾を巻いて、何かに脅えている様子。人の出入りが多いせいかもしれない。見知っている人に与えられた豚汁はきれいに食べていた。

 校舎の横には、テントの中に仮設のお風呂。「今日は女湯、5時から8時まで」。横には洗濯物が靡いてる、校舎と体育館の間にも。

 学校が終わると明るい表情をした子どもたちが帰って行く。「この前までここで暮らしてた」と言う子も。体育館横の空きスペースでは、サッカーのうまい子が、ボランティアのアメリカの青年たちとボールを蹴り合っていつまでも遊んでいた。同じスペース内の少し離れたところでは、紙コップを使って砂の円すい台をたくさん作っている小さな子どもたちと母親。

 仮設住宅への入居が抽選で決まり、避難所の人は少しずつ減っているのだと言う。来週には教室内の避難所は閉鎖されるらしい。でも仮設住宅に移ったら、炊き出しの支援は受けられるのだろうか?

 高台を下りると、一面が瓦礫の野原になっている。黒焦げの家も。夕方になって来ると冷たい風が海の方から吹いてくる。

 多くの人の助け合いの輪が、この地では、もっともっと必要な気がした。

025

(2011.6.3)

 

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コメント

お疲れ様です。
無事帰って来られて安心しました。

もっと行政や社会福祉団体の
ボランティアツアーが増えるといいですね。


単独で行くのはなかなか大変なので。

ありがとうございます。
ボランティアの受け入れについては情報が錯綜しているみたいですね。もう必要ないとか、もっと欲しいとか。
ボランティア団体もさまざまで、私の参加した「日本緊急援助隊」(東京)のリーダーの方は、某団体について「マスコミには取り上げられるけれど楽なことしかやっていない」「組織優先」と批判的でした。
コーディネーターの役割が大きいかなと思います。必要とされている情報を広く細かく集めてボランティアに引き継ぐ。それがあると個人でも動きやすいかなと思います。
旅費を考える、とツアーが増えると良いですね。
また、ボランティアの活動拠点が設置されていると動きやすいですね。現地新聞(河北新報)には、岩手県盛岡市が、宮古市川井に拠点を作る(7月上旬使用開始)と載っていました。

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