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波打ち際

 靄が田園の辺り一面を覆う。日は照っているのだが遠くが見えない。蒸気がたちこめているのだろう、海からの風が冷たい。

 空の色のような、太平洋の灰色の波が二段、三段と折り重なって打ち寄せる。

 堤防のところどころに白詰草が群生し咲きほこっている。

 断層が見える。堤防のこちら側では赤い水が小さく流れる。松や桜のほとんどがなぎ倒されている。

 海岸線の遠くの方に微かに島のようなものが見えるのは、瓦礫の堆積なのだと言う。近くでは空洞の家が疎らに立っている。

 向こうの大きな建物は荒浜小学校。こちらは残されるらしい。

 波が時を刻む。

 次から次に、数多の生命が生まれ続ける。

 いつまでも、どこかの場所に記憶されようとして。

056

(2011.6.4 若林区の海辺にて)

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