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風の夜

 2010年12月24日(金)午後8時。

 夕方から風が強くなって、寒さが増してきた。骨の髄に堪える。

 風が強い分、空気が澄んで、星も良く見える。満月を2日過ぎた頃で、明るい夜でもある。

 1キロほど離れた海岸が明るく、ドン、ドーンと音が聞こえてくる。花火が上がっているようだ。

 花火も風に流されている。煙りも流れ、マイクを通した人の声も、町の喧騒も、ひいやりとした空気に忽ち吸い込まれていく。

 3か月ほど前は皆が暑い暑いと口にしていた、それがあっという間の冬空である。近くの鶴見岳のてっぺんは薄っすらと雪化粧をしている。その遠景はわずかに震えているように感じる。あの向こうで雪の精たちが輪舞しているようだ。

 間もなく新しい年が訪れる。もう何度目の新年だろう。幾つかの新年の情景が重なり、あるいはランダムなスライドのように、頭の前辺りで明滅している。

 遠く過ぎ去ったものと、何度も繰り返されるもの。過ぎ去ったものをなお思い出そうとすると、そこにいた人の温もりのようなものが、ただその温もりだけが、どこからともなくやって来る。

 ドン、ドン、ヒューン、ブツブツブツ。花火はクライマックスらしい。

 マンションの下から、風がまた勢いよく吹いてきた。

001

(なびくはなび)

 

 

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コメント

花火の写真、
風にたなびく彼岸花みたいで
いいですね。

寒いので風邪ひかないように
気を付けて下さいね!

奥様が心配されてますよ~。

風邪より頚髄が…^^;

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