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猫を抱いて象と泳ぐ

 小川洋子(2009).猫を抱いて象と泳ぐ.文藝春秋

 チェスの名手の物語と聞いて、最初に連想したのはヘッセの『ガラス玉演戯』だった。

 確かに、盤上の駒の進め方がその人の性格、経験、考え方そのもの;であること、駒がその人の手を借りて動くということ、動きが物語であること、など、ガラス玉演戯にかなり近いものを感じた。

 猫とは、ポーンという名の白黒斑の猫、象は、インディラという名のデパートの屋上から降りられなくなり一生をそこで過ごした主人公の友人であり、ビショップを意味する。

 「猫を抱いて象と泳ぐ」とは、ポーンとビショップを巧みに使いチェスをするということ。それは主人公リトル・アリョーヒンの人生そのものだった。

 すでに肉体がこの世にない物(インディラ、ミイラ)に愛おしさを感じるのは、自らの永遠を生きることである。

 私は、私に親密な、声なき物たちと共に生きる。そのことで、私は私の生に限定されないあらゆる位相を生きることになる。

 物たちに動かされて、なお自在であること。

 チェスの詩を生きること。

 より遠い場所まで思いを馳せることのできる、穏やかな、優しい小説である。

013

(日光を浴びて)

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コメント

あちこち読んでいると、時間がかなり過ぎました。
塚田さんて・・・なんだか、奥行きの深そうな方だなとは思っていましたが、
これほどまでのふくらみをお持ちの方だったとは・・・
驚き、感嘆しています。
マラソン、手話、点字・・・さまざまなことに、生き生きと取り組んでいる姿が
HPのあちこちから湧き上がってきます。
いろいろ私はまったく知らない世界のことも書いてあり、ちょっとショックもありました。
福島原発メルトダウン、あすなろコンサート、トイレの神様・・・など、身近に感じました。
誰のためのマラソンか?にきちんと返信が来たのは、
ちょっとした救いでした。
いろいろ書き出すときりがないけど・・・・
お気に入りに入れて、またゆっくり読ませてもらいます。
公開していただいて(?)ありがとうございました。
まったく知りませんでした。

ご覧くださり、ありがとうございます。
なんだか好き勝手に書いているブログです。もっと私的でない書き方の方が良いかなとも思ったりします。
ではまた、よろしくお願いします。

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