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あなたは私の手になれますか

 小山内美智子(1997).あなたは私の手になれますか.中央法規出版

 13年前に書かれた本である。2008年に第19刷が出されている。長く読み継がれているようだ。今読んでも、時代の違いを全然感じさせない。

 障害当事者としての素直な気持ちが綴られている。

 障害を持つ人が、どのような気持ちで日々のケアを受けているかがよくわかり、とても勉強になった。ヘルパーとして、利用者の様々な気持ちに沿うことが、何より大切だと思う。

 〈仕事に自信をもち、プロになることは結構なことなのだが、自信過剰になり、これでいいのかという迷いが消えた時、大きな落とし穴があるのではないかと思う。長い間ケアをやっていた施設の職員や看護婦、ヘルパーたちにお尻を拭いてもらうと迷いのなさに自信過剰ではないだろうかと感じてしまう。その手の感触を感じるたびに、自分の生き方にも自信をもちすぎてはいけないと言い聞かせている〉p.30

 この感性、感じとる力の確かさに魅かれる。しかも、論理的である。

 ケアに携わっている人は、1度この本を読んでみられたらよい。小山内さんの人生の様々な場面に共感し、心を動かされるだろう。

 介助者に伝えたいことが、本当はもっとたくさんあり、でも気を使って言わずに心にしまってあるということが、理解できる。彼女自身は「もっと言うべき」と思っているにもかかわらず。

 察するということ、ケアするということ、その本当の大切さ、意味が、(何となく)感じとられることと思う。

 〈言葉が伝わらない。文字が書けない。言いたいことがあっても、言ってしまうと嫌われる……。しかし人間には言葉がとても大切であり、たったひと言で生まれ変わることさえあると信じている。言葉は人が生きていくための栄養であり、時には武器にもなる〉p.178

 言葉に対してこのような(切実な)感覚を持つ人を、私は信頼する。

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