« ちいさな王子 | トップページ | フラナリー・オコナー »

Adieu, Mon Unique.

 アントワーヌ・オドゥアール作、長島良三訳『エロイーズとアベラール――三つの愛の物語』(角川書店,2003)を読んだ。

 12世紀フランス、比類なき神学者・哲学者のアベラールと、学識と才知溢れるエロイーズとの愛の書簡をもとに創作された物語。

 私はエロイーズの愛に興味を持った。

 17歳のとき、アベラール(39歳)の愛を受ける。二人の愛は伯父の激しい怒りに触れる。二人は結婚し、以来彼女は一貫して、神ではなくアベラールに従う。彼の意により修道女となり、長く離れて暮らし、彼の創設したパラクレ(慰めの意)修道院の院長になってからも、神に赦しを求めるのではなく、神を愛するのではなく、ただアベラールだけを愛した。

 人々の尊敬を集める一方で、内的にはかつての罪(姦淫)と肉欲により、苦痛、苦悩の日々を送る。

 アベラールも彼女を愛し続けた。離れていても、彼女の伯父の怒りにより去勢されても、愛に変わりはなかった。

 そのように二人は愛し合った。

 アベラールは死(63歳)の少し前に信仰告白をする。だが、エロイーズは神を愛さない、揺れることなく。その生の態度に、深く感動する。

 

 原題は、Adieu, mon unique. (さようなら、私のただ一人の人よ)

 物語の最後の一文である。

« ちいさな王子 | トップページ | フラナリー・オコナー »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/391404/10102105

この記事へのトラックバック一覧です: Adieu, Mon Unique.:

« ちいさな王子 | トップページ | フラナリー・オコナー »