« ある場所 | トップページ | 即身成仏義 »

あわいにて

水溜りに千両の実が落ちた

傍らの石仏には緑の銅貨

 

奥へ入る一本道の閾にて

「観音さんに背を向けたらあかん」

石畳の隙間から声が聞こえた

 

千年の時が小さく渦巻いた

テムズ辺の路地裏で

アドリアに消えた少女の

髪に付いた藻の間で

 

白妙の衣の

森の水に流されぬ 無垢が

時を隔て 零れ落ちた

荷台の 轍の あとから あとから

 

地に生えるものは

自らを苛み 砕き

(ほぐされたいがために在るものよ)

 

落ちた直後に動き出す

塊のまま

実を結ぶこともなく

 

動きに生えるものは

ふり向き 仰ぎ見

かたちあるものに溶け入る

 

鱗の光りは夢を見る

水底にふり 時の外に舞う

闇という闇に入り込み

やがて密やかな声となる

« ある場所 | トップページ | 即身成仏義 »

詩を書く」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/391404/7292590

この記事へのトラックバック一覧です: あわいにて:

« ある場所 | トップページ | 即身成仏義 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ