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気持ちよく走ることをめざして――第19回山口100萩往還マラニック大会・B‐140kmの部完踏記

①スタート(瑠璃光寺)~防府市~山口福祉センター(43.35km)

 ときおり涼しい風が吹く。子どもたちの和太鼓の音が鳴り響く中、小野幹夫さんの「エイエイオー」のかけ声とともに、18:15 最終ウェーブでスタート。まずはゆっくり、それから少しペースを上げる。

 途中、JogNoteの友人かねやんさんとお会いする。「調子はどうですか?」「まあまあ、です。またお会いしましょう!」「じゃあ、また!」

 しばらく進むと、同宿のTさん(宮崎県)、Sさん(愛知県)、Kさん(神奈川県)ともお会いし、同様のエールを交換する。レースは始まったばかり、夕闇が迫る。

 20時頃、防府市に入る。信号の度に赤に変わり、足止めを食う。一緒に走っていた人は「信号に嫌われちゃってますね。まっ、良いですか」。この人「B‐195」は最終的に2位でゴールされていた。英雲荘で初めてチェックシートに印を打って貰い、ヘッドランプを装着して再スタート、しばらくしてかねやんさんと再会。「かねやんさーん」「ウィーッス」

 佐波川の大橋を渡ると、先の「B‐195」、「B‐214」さん(こららは1位でゴール)に追いつかれる。相対的に私のペースが落ち始めており、もう付いていけない。ここから単独走を余儀なくされる。

 鯖山峠の「しゃもじ」エイドに到着、初めての食事。卵うどんとおにぎりを食べる。店の人が、手持ちのペットボトル(500ml)が空なのを見てお茶を給水してくれる。ありがたい。

 22:40 山口福祉センターに到着。ここで味噌汁を頂き、ウエストポーチからバックパックに換える。中には水1ℓ(ハイドレーションシステム)、ドライフルーツ数種、パワーバー、消毒液・滅菌ガーゼ・包帯・テープ・鋏、胃腸薬、健康保険証、バンダナ、軍手、千円札2枚、そして、赤光の点滅ライト(後方の人から見えるよう、大会事務局から支給されたもので、“ホタル”と呼ばれている)を取り付ける。22:55 に再スタート。

②山口福祉センター~板堂峠(50.15km)~萩城跡・石彫公園(79.15km)

 萩往還道手前までのアスファルト道は走って上る。往還道に入ると走れない(石畳の隙間に足を取られ、躓きそうになる)。道はつづら折、石畳のない箇所は走る(私は山道を歩くことに慣れておらず、歩くのよりやや速い程度で走るのが楽である)。そのうちに、2つの“ホタル”が前方に見えはじめる。更に、ヘッドランプで地図を読んでいる2人の若者と合流し、間もなく萩往還最高到達点(560m)の板堂峠を通り過ぎる。国道に下りると、いつの間にか集団が7、8人に増えている。闇の中、地図だけでは行き先がよくわからないが、道路の分岐点には白線が引いてあり、それを頼りに進むことになる。集団のペースは遅くなく、ゆっくり走っていると取り残されそうになる。国道から往還道に入り、首切れ地蔵前を通り過ぎ、佐々並エイド(58.45km)に到着。そこからまた、石畳、畦道の上り下りを繰り返すことになる。

 上り坂ではどうしても私が先頭になってしまうのだが、国道に出てしばらくして、後方に誰もいないことに気づく。と、後方遠くから、「矢印こっちですよー」と先の若者の声。一旦戻って、後方から追いかけようと思ったが、“ホタル”はもう見えず、追いかける気力が失せたので、ここからまた単独走となる(61.km辺り)。

 国道に出て、釿(ちょうの)切峠を越え、再び往還道に入ると、一升谷の下りが続く。真っ暗な、石ころ(石畳が砕けたのだろうか)だらけの道、しかし絶間無い清流の音と生き物たちの声……悪くない。ゆっくりと下ると疲れることもなく、しばし快適に走る。一升谷とは、昔この坂を上るのに炒豆を一升食べ尽くしたことから由来するという。3km程続く坂道である。

 下り終えると、明木市(あきらぎいち)エイド(67.7km)に到着。先行ランナーは見当たらず、3、4人のボランティアの若者たちが迎えてくれる(ここでも手持ちのボトルに給水してくれた)。「ここにしかない饅頭」を美味しく頂き、エールを受け萩城跡に向けて出発。

 JR萩駅手前の跨線橋で、先行していた集団と合流する。彼らは道を間違えたらしい。「20分もロスした」と1人が言っていた。しかし、私はゆっくりペースに嵌っていて、再び彼らに離されてしまう(彼らは17時間30分から18時間30分でそれぞれにゴールした)。

 4:15 萩城跡のチェックポイントに着く。まだ暗かったが、ここでヘッドランプを収容袋に入れる。

③萩城跡~笠山~虎ヶ崎~東光寺(99.7km)

 萩城跡を後にして、私のペースはますます遅くなる。胸が苦しく、脚が重い。心身にしんどさを感じる。頑張れば頑張れないこともないのだが、先が長いので無理はしない。笠山の手前から歩き始め、笠山、虎ヶ崎の2つのチェックポイントを過ぎ、更に2km程を歩き続ける。

 虎ヶ崎には食堂があり、卵入りカレーを食べた。「それと、ビールもね」これはA(250kmの部)の人。

 笠山と虎ヶ崎に通じる道は折り返しなっており、帰りには数多くのランナーとすれ違い、エールを交換した。同宿のTさんともハイタッチを交わすが、元気がないように感じられた。かねやんさんには会えず仕舞い、ゴールで出迎えることにする。そして東光寺へ。

 ここで痛恨の交通ルール違反。東光寺への歩道の手前の信号が赤だったのにも拘らず、車が来なかったのでいつもの調子で渡ってしまう。引き返して青になるのを待って再び出ようかとも思ったが、身体がしんどく、そのまま渡ってしまった。

 7:45 東光寺チェックポイントに到着。ここからゴールまでの35kmに6時間もかかることになる。

④東光寺~ゴール・瑠璃光寺(134.4km)

 虎ヶ崎でカレーを食べてからは胃が痛く、胃腸薬を飲む。それでも治まらず、山道に入っても歩き続けた。が、歩いても楽になる訳ではないと思い直し、涙松(105km地点)から再び走り始める。しばらくして、C(70kmの部)、D(35kmの部)、E(60km歩け歩けの部)、F(35km歩け歩けの部)の人たちと、次々とすれ違う。すれ違うごとに「頑張ってください!」「すごーい!」「パチパチパチ(拍手)」「お帰りなさい!」「あと20kmですよ!」様々な激励を受け、言葉を返しているうちに、少しずつ調子が出てきた。未明に下った一升谷の道を、走って上った。

 佐々並エイドで名物の豆腐を頂く。その美味しいこと! 「あと2時間程で行けますか?」とAの人に訊くと、「2時間は無理だよ、もう少しかかるナ」長いアスファルトの上り、板堂峠越え、石畳のつづら折が続くのである。エイドを 11:35 に出発、走ったり歩いたりしながら、ゴールを目指す。

 アスファルト(国道)上りの後半に草餅エイドがある。そこの男の子が「好評の天然水はどうですか?」天然水を頂く。「美味しい! なるほど好評なわけだ」、おばあさんからは草餅を手渡しで頂く。これも美味しい。胃痛が治った気分。

 国道の終わり近く、追いついてきたAの人から「ここから頑張ったら、20時間切れるよ。20時間切ったら凄いよ」と励まされる。新たな目標ができた。「ウェーブは何番目?」「最終で、15分の時間差があります」「だったら、絶対いけるよ」ここからラストスパートに入る(残り6kmちょっと)。

 しんどいと思っていたのに、強くキックして走ると、今までの調子がウソのよう。坂を駆け上がる、風を切る、忘れかけていた感触、走ることの気持ちよさが加速する。峠を越えると下り、石ころだらけの地面に意識を集中する。石畳では、どの石に足を乗せるか、瞬時に判断する。アスファルトに出ると残り3.5km、また加速、全力走に近い。最後の200mの坂を一気に駆け上がり、そのままゴール。

 最後の、あのAの人のアドバイスは、天使の声だったのかもしれない。

 (記録:19時間30分49秒)

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コメント

お疲れさまでした~ってありきたりの言葉では表せないくらいの体験ですね~~♪♪。読んでいて思わず引き込まれてしまいました~!!ほんとに、すごい事を成し遂げたのですね~ちょっと想像できないと思ってたけど、段々面白そう!って興味がわいてきました。自分ではとてもできない体験だけど・・・どうぞ、ゆっくりゆっくりと、休養してくださいね!

coconutさんありがとうございます! 途中、脚が重くなったり、胃が痛くなったりして、結構歩いてしまいましたが、良い思い出をいっぱい貰った気分のまま書き込みました。すれ違った他の部(C,D,E,F)の人たちからの声援がすごく、有難く(嬉しく)て、胸が一杯になりました。また参加したいな~気分は来年です♪ 

140キロ、本当にお疲れ様でした。
私も、すれ違う他のランナーやウォーキングの人達のエールが、走る力に変わりました。一人っきりで走っていたら完踏なんてとてもできないと思いました。今は、すれ違った全ての人達に感謝したい気持ちで一杯です。

かねやんさん有難うございます。本当に、すれ違う人たちの声が力に成りましたね。私の泊まった惣野旅館では懇親会が行なわれました。250kmの常連の方々の話を聞いていると、こういうの、ほんとに好きなんだな~というのが伝わってきました。
次は丹後でお会いしたいです。

遅ればせながら(本当だよっ・・笑)完走本当におめでとうございます!しかも20時間切り!すばらしい!!
250kなんて車では走ったことあるけど、自転車でもまだない(苦笑)。それを足でやっちゃうのですから凄いすごーーーい!
それと、結構一人旅になるのかなと思っていたけど、結構すれ違う人やエイド付近の方々の声って凄い励みになって、それもまたステキですね!
いやー本当におめでとうございます!

sumisumiさんありがとうございます!
参加者同士の声の掛け合い、ボランティア、スタッフの方々の声援が何より励みになる大会でした。来年は250kmに参加したいです。

 突然ですが「はじめまして」です。とおりすがりの物です。
 私も新八代駅の近くに住んでいるもので、走ることが好きで、時間をみつけては駅周辺を走っています。機会があれば一緒に走らせてください。また、「カルデラマラソン」、頑張ってください。応援しています。

きまたさん有難うございます。
ご近所ですね、私は西片町です。新八代駅~竜峰山八合目往復というのが、マイコースです。球磨川河川敷公園、海士江町の会地公園もお勧めコースです。機会があれば一緒に走りましょう!

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