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97歳

 何度説得しても、どうしても「家に帰る」と仰るので、夕闇迫る町に出た。

 車椅子を押して走る。1,2,1,2、とリズムをとると、彼も1,2,1,2、と調子を合わせる。「寒くないですか?」「寒いと言っておれん、大丈夫」道順は彼が指図する。

 30分ほど走っただろうか、指図する方向が施設に向かい始めた。良かった、と思った刹那、「道を訊こう」を仰る。ガソリンスタンドで訊く、施設とは逆方向に進む、再び車中の人に訊く、ますます遠ざかる、3度、4度、漸く目的の「町」に辿り着く。

 だが、そこから先は彼にもわからない。こんな広い道はなかった、昔と変わったなあ。

 昔とは何十年前のことか? 「寒くないですか?」「寒い」やばい、ご高齢なのだ。

 迎えに来てくれた施設からの介護車で帰る。血圧、体温の測定、もう9時を回った。暫くすると、再び「家に帰ろい」「家に電話してくれ」「酒を飲みたい、一升瓶はないか」・・・。

 彼にしてあげられる事は何だろう? 自らの無力に苛まれる。

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コメント

 もう立派にお相手して上げられているではないですか。
 vase jauneさんのような優しい介護士さんと小旅行が出来ただけでご老人にはとても嬉しかったことと思いますよ。
 
 最後の」「酒を飲みたい、一升瓶はないか」・・・私の将来を見ているようです(*^。^*)

有難うございます。
わけもわからず施設につれてこられ、「帰りたい」という自然な欲求も満足させてもらえない彼の心中を察するに余りあります。
大阪では在宅のヘルパーをしていたのですが、施設は難しいですね。

無力と思うその気持ちわかるな。。
でも vase jauneさん、立派です。毎日毎日素晴しいなと関心してしまいます。

これから、もっと大変なこといっぱい出てくると思いますが、頑張って欲しいなと思います!
施設・・難しいと思います(><)・・

でもvase jauneさんなら大丈夫!
これからも元気にふぁいっ♪

sumisumiさん有難うございます。がんばります!
凄い97歳です。生命力が強い、と感じます。
今朝は「ほうれん草のおひたし」を作って、彼を起こしに言ったら、「ほうれんそう」と当てられてしまいました。並みの嗅覚ではないですね。
味噌汁も、うまいうまいと食べてくれ、嬉しかったです。

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